密談
あっという間に9月になって 6日の火曜日
わたしは 出勤し 仕事場でお昼をすませ トイレ行って 歯磨いて……と いつもとなんらかわらない日々を送っていました。
しかし、その火曜日は すこし違っていました。
わたしが トイレに行くと 3つある個室のうち 2つが埋まっていました。
たいてい12時10分ごろ、トイレは空で わたしは気兼ねなく用をたせるのですが、この日は なぜか埋まっています。
「○□さんは……」
「●●さんには……」
どうやら現場でしゃべれないことをトイレドア越しに話しているようです。
わたしは そのときは なんも思わず 空いている個室に入り、じゃーと、ことすませ 洗面所で歯をみがきました。
あとからトイレから出てきたのは ある部署のリーダーと たぶん社員さん｡
わたしは 派遣ちゃんなので だれがだれだか わかりません。興味もありません。
シャコシャコ 歯をみがきます｡
…………
うーん、○□さんって……
○□さんは、わたしと同じくらいにきた 同じ派遣会社のひとです。
ただ性格的に難あり というか まあそんなおばちゃんです。
なんかちょっとヘンいうか……まあ、です。
その○□さんの名前が でてきたなぁ。
なぁ……
わたしは ぼんやり思い 口をすすぎ その場を離れます。
火曜日は残業があり、18時すぎに タイムカードを押していると ○□さんが能面のような顔で 向こうから ずこずこ歩いてきました｡
いつもなら かるくお疲れ様です と あいさつするていどなのですが、今日は無言で ○□さんは通り過ぎて行きました。
わたしは 脳裏に昼間のトイレことが どうしても浮かんでしまいました。
なんか良い感じでは なかったので｡
あの性格では いろいろ仕方ないさ。
しかし 生活のため 今この仕事はぜったい辞めないだろう｡
…………
トイレ
翌日 7日 水曜日｡
今日も今日とて 出勤です。
ルーティンで お昼をすませ トイレにGOです。
しかし 今回は 自分 やばいです。
大の方が したいのです。
ええ かなり状況は 切迫しています。
グラフとかで あらわすと 超えてる部類です。
トイレにかけこみ 絶望しました。
「○□さんが……」
あああ まだやっってるぅ！
昨日の繰り返し｡
トイレの個室2つ 使っての 密談！
くそっ！
あ、いや まだ大丈夫。
まごついていると 定年退職なさって となりの作業場で仕事をしている方がきて、
「トイレ いっぱいなの？」
なかなかトイレに入らないわたしに 声をかけてきました。
わたしは
「かかわらないほうが身のための会話してるし 聞きたくもないし、う○こもできない」
とは さすがに 口がさけても言えず、先に歯磨くと ワケのわからんことを言って逃げました。
その定年退職なさって方が トイレに入ったかどうかは 知りませんが、わたしは とりあえず歯磨いて 気をそらし、やっと トイレから出てきたリーダーとAさんに ほっとし ことなきを得ました。
トイレは いろいろだして ながす ところだな と思いました。
